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2009年12月13日

パズルアクションというジャンルの衰退について考えてみた

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Oil Tycoon (Commodore64)

レトロゲームファンとしてほっとけない、非常に面白いブログエントリを目にしました。

れとろげーむまにあ: もっとも衰退したゲームジャンルを考えてみた
http://nesgbgg.seesaa.net/article/135327484.html

1番衰退したジャンルはなんなのだろう?
今回はこれをテーマに考える。

ゲームジャンルについて、ビュー(およびビューポイント)から検討されています。
結論としては「もっとも衰退したジャンルはアクションパズル」ということになっています。

アクションパズルが衰退した3つの理由をもう一度確認。
1、ハード性能の影響を受けない
2、RPG要素(成長要素)がない
3、視野が狭いと成立しない
 
これらがアクションパズルが衰退した理由である。
 
・・・おそらく間違いだらけだろう。いや、間違いなく間違いだらけだ。なぜなら今のゲームをほとんどプレイしていないからわからねェのである。レトゲじじいの世迷言だと思っていただきたい。
 
おしまい

大変卑下された結びになっていますが、全部読んでみて、基本的な考え方はとても興味深いと思いました。
「衰退」というとネガティブなイメージですが、「完成」ないし「定番で落ち着いた」ジャンルという言い方も出来るでしょう。
ですからおそらく「アクションパズル is dead」と言うわけではなく、「そういえばアクションパズル元気なくね?」ということを意図されているのだと思います。
特に、ビューとゲームジャンルをマトリクス(グロス)で考えてとらえ直すという発想は、柔軟かつゲーム愛があふれていると思います。

ここでは、個人的にいくつか気になった点があったので、誰にも頼まれてもいないのに僕も自分なりに考えてみたいと思います。


■定義

「アクションパズル」あるいは「パズルアクション」とは何か。
パズル要素のあるアクションゲームです。あるいは、アクション要素のあるパズルゲーム。

アクションパズル(パズルアクション)の例として、エントリでは「ソロモンの鍵」だけが挙げられています。
でも、僕がパズルアクション(僕はこのほうが使い慣れているのでこちらで統一します)と聞いてまず思いつくのは、「ワリオの森」「ドラゴンスレイヤー4」「クインティ」「ロードランナー」「ボンバーマン」「ぐっすんおよよ」「レミングス」などでした。


■「ワリオの森」「ドラゴンスレイヤー4」「クインティ」

ワリオの森」は「ヨッシーのたまご」の延長的なゲーム性です。パズルゲームの世界に、まさに小人がひとり紛れ込んだようなゲームです。こういうプレイ感のゲーム、今多いですよね。特に海外のダウンロード販売のゲームなんかで。そういう意味ではあまり「衰退」という感じがしないのも事実です。

ドラゴンスレイヤー4」は、パズル要素の非常の強いアクションゲームでありながら、RPGとしてシリーズを重ねてきました。
もしかしたらRPGと相性が悪い訳ではないのかも知れません。

クインティ」は、パズルアクションというより「テーブルゲーム+アクション」と考えるべきかもしれませんが、脳内の「パズル脳」部分を使ってプレイする感覚もあります。このゲームの特筆すべき点のひとつに、キャラクターの魅力が挙げられます。「キャラ立ち」は、強力なバリエーションの装置となりえます。キャラや世界観を入れ替えるだけで、同じ企画フォーマットを延々とゲーム化し続けられます。

これら3つを考えると、パズルアクションはそんなに衰退していくジャンルでもない気もしてきます


■「ロードランナー」「ボンバーマン」
 
ロードランナー」は2009年リメイクされましたが、オリジナルとほぼ変わらない2Dサイドビューで、むしろ1画面で全体がとらえやすいようになっていました。おそらくこれ以外のリメイク方法では、まったく別のゲームに変わり果てていたでしょう。

ボンバーマン」にも1作だけ、完全3Dのタイトルがあります。"First Person Bomber"略して"FPB"なる造語がパッケージに記されている、「BOMBERMAN ACT ZERO」です。率直に言って、「ボンバーマン」のゲーム性が損なわれてしまっただけで、新しい良さは特に見当たりません。なんせ、視界の外から突然爆風がやってきてしまうのですから。クォータービューの疑似3Dまでが「ボンバーマン」というゲームの許容範囲なのだと思われます。

ぐっすんおよよ」「レミングス」なども、ビューの変更やルールの変更の余地はほとんどないゲームでしょう。

これらを考えると、「パズルアクション」は確かに袋小路・行き止まりにぶつかったジャンルのようにも思えます


■FPSとパズルアクション

"FPB"では見事に失敗したパズルアクションですが、代表的なFPS(FirstPersonShooter)である「Halo」や「Call of Duty」などのオンラインマルチプレイは、勝利条件がパズル的だったりします。
撃ち合って殺し合うゲームながら、目的となる物(フラッグやアタッシェケース)を自陣に運んだら勝ちというルールです。
これって、場所と形を変えて、アクションパズルのエッセンスは生き残っているということかもしれません。
 
 
■鬼ごっこ

「物を自陣に運んだら勝ち」というルールは、ちょっとずらせば「鬼ごっこ」的でもあります。事実「Halo」ではいわゆるゾンビモードという鬼ごっこライクなルールもあります。もっとさかのぼれば「パックマン」や「マッピー」といったパズル的鬼ごっこゲームもあります。

「パズル的鬼ごっこゲーム」というのはかなりジャンルとして「パズルアクション」に近いと思います。

個人的にXBOX360のベストゲームである「パックマンC.E.」は、基本的に往年の「パックマン」そのものながら、ルールを整備し直すことでエバーグリーンな大名作を完全に新しいハイデフゲームに生まれ変わらせました。


ただし、鬼ごっこまで「パズルアクション」だ、と言い出したら、「エレベーターアクション」も「マリオブラザーズ」も...となってしまうので、このあたりはあまり厳密に深追いでしても仕方ありません。
 
 
■ タワーディフェンス

ここ数年、タワーディフェンスと言われるジャンルが盛り上がっています。シミュレーションとパズルとRPGが融合したようなルールを持っています。360度回転する3Dビューのもの(XBOX LIVEインディーズ「GLITNIR」など)もありますが、基本的にはトップビューないしクォータービューです。タワーディフェンスは、最初に注目が集まったときには既に完成された感のあるジャンルですが、もしかしたらまたこのような形で新しい中間的なジャンルゲームが生まれるかも知れません。

ただ、そもそもシミュレーションゲームはパズル的です。であればアクション要素のあるシミュレーションゲームもパズル的に感じられて当然です。
タワーディフェンスもそういう理由で僕にはパズル的に見えただけかもしれません。
「シミュレーションゲームはパズル的」とは言え、シミュレーションはシミュレーション、パズルはパズルと分けて考えないと話が煩雑になるので、このあたりの考察は我ながらいささか勇み足ですね。


■陣取りゲーム
 
ここで敢えてもうすこし勇み足を続けてみましょう。
サッカーゲームの中にもシミュレーションゲーム要素、パズルゲーム要素が内包されています。要するに、サッカーというスポーツ自体に、陣取りゲームとしての(1)リアルタイムストラテジー性と(2)パズル性、そしてもちろん(3)アクション性が見つかるということです。

サッカーゲームファンの中には、僕のように「ウイイレは爽快感、FIFAは戦略性」と感じているプレイヤーも少なくないでしょう。
数年前まで日本を中心に売れまくっていたコナミの「ウイニングイレブン(ProEvolutionSoccer)」シリーズは、パスぽんぽんとつなげてゴールをどーん!と決めて初心者でも楽しめるゲームです。これはサッカーの中のアクション性に重点が置かれているからだと思います。
一方EAの「FIFA」シリーズは、“ボタン先押し”の操作感がアクションゲームとしては独特です。むしろ、10対10のオンライン対戦などのように、サッカーというスポーツの中のチーム協調、フォーメーションと言ったリアルタイムストラテジー性に重点が置かれています。

特に陣取りゲームとしてのサッカーの側面が強調されている「FIFA」のようなゲームタイトルにおいて、スポーツというジャンルはパズルアクションというジャンルに近似します
ただもちろんこの考え方は勇み足です。話を少し戻しましょう。

■パズルとRPG

パズルとRPGの組み合わせ例としては、先に挙げた「ドラゴンスレイヤー4」の他にも、2009年にXBOX360で「ジャイロマンサー」というのが出ました。
これはパズルとRPGが融合しているというより、単純な2ジャンルの足し算なのであまり新しい感じはしません。むしろ強引な気もします。

ただ特筆すべきは、このタイトルがスクウェアエニックス社の(1)ダウンロード販売 (2)カジュアル路線 (3)グローバル展開のコンテンツだという点です。

これらの意味するところは、
・流通コストがかからず長期販売可能(1)
・ひろいユーザー層に向けたゲーム(2,3)
・薄利多売(+長期販売) (1,2,3)
ということです。

まさに「衰退した=枯れた」ジャンルのゲームは、スクエニのようなグローバルなゲームメーカーにとっては最適のコンテンツなのです。
そういえばスクエニは、「ジャイロマンサー」の前に、前述のタワーディフェンスジャンルの「クリスタルディフェンダー」というタイトルをマルチプラットフォーム展開しています。


■総論

・「衰退=枯れた=陳腐化=完成=定番化=落ち着いた」ジャンルである
・手を替え品を替え、場所を変え形を変え、パズルアクションのゲーム性はさまざまなジャンルに宿っている
・いちジャンルとして大きな変化は無くとも、逆にユーザーの世代が入れ替わる事でずっと続くジャンルである



■おまけ

以上の考察を踏まえて、たとえばパズルアクション的な「相撲ゲーム」を勝手に妄想してみました。
 
・RPG要素(技等が増えていく、長いチュートリアルをかねたストーリーモード)
・3すくみ要素
・シミュレーション性
・実際のスピードだと1試合が短すぎるので、時間を引き延ばす
・時間を引き延ばすために、3Dカメラが一周したり画面分割したりするなどして組み方を把握(リアルタイムストラテジー性)
・「FIGHT NIGHT」のように、右アナログ入力と左アナログ入力を右手左手として操作
・複雑な入力がビジュアル化され、パズルのように決まれば技発生
・パズル解決を続ける事でステータス変化していき、一方が勝利条件を満たすまで続ける
 
とりあえずActionScript3.0+PaperVision3Dでなら作れるけど、コントローラー使えないからなー。企画だけ。
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posted by taichistereo at 14:58 | Comment(0) | カジュアルゲーム
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