「HACKER JAPAN」(ハッカージャパン)2008年09月号について。
コエカタマリンでは「
mixiサーフ」っていうサービスをやっていまして、
http://www.mixisurf.com/mixiなどの国内外SNSのなかを自動で巡回していって、ランダムにいろんなひとのプロフィールにジャンプしていけるという無料ツールです。
WEBアプリケーションということで「無料のASPサービス」みたいなもんなのですが、ぶっちゃけ
500万hit/dayとかいうすごいアクセス数がありまして、似たようなツールの中でも最初期に立ち上げたものです。
自分の調べている限り、
無料サービスとしては最初のものであるはずです。
もしかしたら有料ツールも含めて元祖かもしれませんが、ちゃんとしらべていないので詳細は微妙です。
今までにも企業から何度かサイト買収の話もありましたし、いろんなセミナーでも教材に使われてるみたいです(特にこちらには連絡も無く、あとから知りますが)。
でもでも、
今月のハッカージャパンの「mixi研究」と銘打った特集では
「mixiサーフ」ではなく、ついこないだ立ち上がったへぼへぼサイトのパクリツールが紹介されていました。
そのツール、UIの作りから名前に至るまで、どう見ても「mixiサーフ」にインスパイアされてます。ほんとに。
アクセス数10とかのへぼへぼサービス。がっかりです。ほんとに。
これでちゃっかりアクセス数のばすんだろうなー。
ちゃんと調べて記事を書いてくれよ。。。
っていうかそもそも、特集を組むのが数年遅かった感がムンムンしてます。
本自体のサイズが気に入ってたり、こういう内容の本といえばあとはネットランナーみたいなつまんない学生Windowsユーザーのオタクに向けた雑誌しかないので ちょくちょく買って読んでましたが、自分が勝手知ったる分野においてここまで質の低い特集を組まれると、少なくとも今後読む気はなくなってきました。
今回のことで、
「Hacker Japanの編集してる人って、ただの一般人じゃん」
ってことがよくわかった気がします。
よく考えれば当たり前だけどね。そもそも「Hacker」という言葉の定義もHacker Japanにおいては怪しいし、視野が非常に狭い。
もっとワクワクする記事なんていくらでも書けるだろう。
もし本当にハッカーのための本をハッカーが書き、編集しているのだったら、Hacker Japanみたいな本にはならないはずです。
実際には、ライターはUNIX使えてちょっと詳しい程度の方で、編集者は普通の人でしょう。
例えるならそうだなぁ、
独特のアジテート感が売りの「Rockin'on」なんかが、音楽用語や機材の話などが一切出てこないのに音楽雑誌然としてしまってる感じ。あれは音楽雑誌ではなくて、「ロック・エピソード雑誌」ですよね。
それと同じで、「HackerJapan」には言語の話やオープンソースの話が出てこないばかりか
ほとんど誌面にプログラムコードが書かれていないのに、ハッカーコミュニティにぶら下がったツラをしてるわけです。
ハッカーなら、プログラムコードが見たいし、書きたいでしょう?
そういう意味では先に挙げた「ネットランナー」とはOSが違うだけで大してやってることのレベルは変わらないのかもしれません。
そもそも雑誌って本来、コミュニティを牽引していく役割ですよね?
ネット以前に「自分と同じことに関心を持ち、消費し、時間を費やしているひとたちがある程度いるんだ」と実感する装置として機能していたと思います。
「Rockin'on」は、(その正確さはともかくとして)独特の語り口である程度コミュニティを形成していたような気がします。もろRockin'onの影響を受けたとしか思えない文章というのをそれなりに見かけます。
一方「HACKER JAPAN」は、あるのかないのかよくわからない、しかもかなり脆弱っぽいコミュニティの幻想にぶらさがっているように見えます。
つまり、ハッカーではなくスクリプトキディのコミュニティです。
そういう、層としては浅くて広い中途半端さんたちにむけての雑誌なので、「コミュニティにどれだけささっているか」という意味では、「コミュニティも強固ではないし、ささる記事というのも想定しにくい」のではいかと思います。
いわゆるエミュレーション系の雑誌が昨今もはやってますよね。DS、PSPなんかの。
ああいうのは雑誌っていうよりムックとして網羅的な1冊を買っておけば良い性質のものです。
売る側としては「その最初で最後の一冊」を、いわば「売り逃げ」てしまえばいいのではないでしょうか。
スクリプトキディに向けた「HACKER JAPAN」の扱う内容にも、そういった性質があると思います。ムックではなく雑誌であるということの意味は、最新情報をフォローしながら柔軟に特集を組んでいくというところにあると思いますが、旬を外しまくっているうえに記事内容も微妙にチープなので継続して購読していく意味を感じている読者というのは少ないのではないでしょうか。
むしろ一見さんがその都度読者となって通り過ぎていっているだけでは?
こう考えると、「ネットランナー」や「PC JAPAN」のほうがよっぽど雑誌として機能しているのではないかと。
なんか一時期の役目を終えた現在の「ラジオライフ」みたいな存在ですよね。
「HACKER JAPAN」の最大の特徴は、ビジネスの視点や、テクノロジー発展に寄与するという視点がまったくかけているということ。
つまり生産者であるハッカーのハッキングを、スクリプトキディが消費しているという図。
「HACKER JAPAN」は、金が発生しない世界での消費をテーマにしてしまっているように見えます。
そんな不毛なコミュニティは、雑誌が牽引しようとしたところで
コミュニティとして固定していないのでアプローチのしようがないでしょう。
「HACKER JAPAN」が、固定的かつ成長の見込めるコミュニティとの循環関係を構築するには、
「週刊アスキー」までポピュラリティを持つ必要はないけど、ああいう匂い立つようなアップデート感を見習うべきではないでしょうか。
webの「@IT」「ITpro」までいかなくとも、プレスリリースなども使いながら、ビジネスの世界まで含めた“ITテクノロジー”を踏まえて“ハッキング”というテーマにアプローチすべきではないでしょうか。
「SoftwareDesign」まできっちりした内容に行く必要はないけど、少なくともあれぐらいのプログラムコード量は必要だと思います。
なんなれば、誌面でなくともWebに別掲してもいいわけです。
そういうことをしたほうが、SEOなどにより知名度は上がり、本の売り上げの微増にも貢献するでしょう。
より良い内容を求めていた読者をつかむこともできるのでは。
あ、というか僕自身がコミットしていけばいいのかも。
いっちょやってみるか?!