2007年09月16日

国内VODサービスにおける「バンダイチャンネル」の弊害?

■.ANIME
http://www.dot-anime.com/

「.ANIME」は、バンダイビジュアル子会社の「アニメチャンネル」が運営するサイト。

親会社のVODコンテンツを視聴させるだけならあんま意味ないわけだが、ここでは物販と音楽配信もやってるというところがポイント。
VODセクション(「映像配信」)では他CP(コンテンツプロバイダー)のコンテンツはないようで、バンダイチャンネルから卸されたライセンス配信ばかりだが、物販(「GOODS」)と音楽配信のは他社を経由した商品/ライセンスも扱っているという点もミソ(たとえば、ランティスの音楽コンテンツやCDなど)。

それにしてもこのサイト名「.ANIME」って、固有名詞じゃないじゃない?
「.」とかgoogle見てくれるんだっけ?他の検索エンジンの場合は?
って具合にSEO難しそうだし、固有のサービス名として印象に残りにくいのだけど、それでも「大丈夫」な理由でもあんのかな。

やっぱり「アニメ」ホビーに特化した形で
・ライセンス販売(PPVペイパービュー/ESTエレクトリックセルスルー)
・パッケージ販売
・関連物販
を三位一体にミックスしたサイトってたぶん他にはないから、このサイトは安泰ってことなのかなー。
安定したアクセスや顧客認知は十分に獲得できる、と。
CP直営、しかも業界最大手のバンダイビジュアル系列なわけだし。


ところで、バンダイビジュアルのアニメコンテンツは、すべてVODレーベル「バンダイチャンネル」を通してライセンス販売されているわけですが、
国内のVODサイトを調べてみればわかるようにバンダイチャンネルのコンテンツはどのVODサイトでも「バンダイチャンネル」コーナーを設置させられています。

おそらく正確には、すべての同社系コンテンツのページには「BC BANDAI CHANNEL」のロゴが掲載される必要があるらしく、レイアウト的な問題で他のコンテンツとの折り合いがつかない(「CPロゴのないコンテンツ」の場合にバンダイチャンネルコンテンツのレイアウトと変える必要がある)と考えられる。

ロゴだけでなく作品情報も他CPのコンテンツとフォーマットが異なっているので、そのために専用レイアウトの専用コーナーを設置していると思われます。

このため、DMMだろうとshowtimeだろうと、どこでもかしこでも「バンダイチャンネル」というセクションが切られている。
それを見越した上でのあえて「バンダイビジュアル」ではなくバンダイ「チャンネル」という名称なのでしょう。

テレビの「チャンネル」の意味と同じに、特定のVODサイトにおける1コーナーであることを明示できると同時に、
「バンダイチャンネル」というポータルサイトでの顧客獲得も可能なわけです。

アニメを配信したい各VODサイトとしては、「ガンダム」シリーズをはじめとするバンダイビジュアル作品を配信しないなんてことはできないから、仕方なく「ドラマ」「映画」「アニメ」「バンダイチャンネル」なんていうよくわかんないグローバルメニュー(サイトヘッダー部などの大メニュー)を作る羽目になってしまいます。

WEBディレクターがため息をもらす姿が目に浮かびます。
「もうちょっとすっきりさせたかったけど、仕方ないなー」とか。


正直、VODサイトを訪れるユーザーの立場で考えても、「バンダイチャンネル」という、よくわかるんだけどよく分からないコーナーが存在することで、VODサービス自体の敷居が高くなってるんじゃないでしょうか?
僕はそうだった。

だから、テレビでのアニメ放映は減らず、新作アニメがVODサイトでまず最初に放送、ってケースがイマイチ増えないのではないか?


そもそも、アニメなんてテレビで放送したってちっとも儲からないコンテンツなわけじゃない?
深夜アニメのCMを見ていたらよくわかるけど、アニメのDVDと関連CDの広告ばっかりなのだ。
他の業種のスポンサーはついていません。

要するに、自分のとこで作ったコンテンツを自分たちの金で放送枠買って放送するという形。
「DVDと関連グッズが売れてなんぼ」であって、テレビ放映したアニメそのものがDVDなどの宣伝として機能していまするのだ。
それらのコストはすべて無料で放送したテレビ以外のところで、コンテンツや版権を販売する利益で黒字にしないといけません。

てことは、普通に考えれば世界最高のネット回線速度を誇る我が国においては、アニメはDVD販売に先駆けてVODサイトで見せちゃった方がいいと考えられます。

USEN運営のgyaoとかまちがいなく、コンテンツ調達のコストが相当なことになっていると思うんだけど、
そういうとこでなら「放送枠を買う」なんて必要なしにアニメを放映できます。

あるいはDVDパッケージを流通させなくても、EST(エレクトリックセルスルー=売り切り)形式で顧客市場に販売できる(もちろん画質(ビットレート)の問題とか利ザヤの問題とかあってDVDのほうがCPもユーザーもうれしい、ということは考えられます)。

これらの構造的な問題が、すべて「バンダイチャンネル」の存在によるユーザービリティーの低下が原因だとはさすがに言い切れませんが、幾分そういう風にも考えられるのではないでしょうか?


PS.
VODサイトプロジェクトでの経験も含めて書いた記事なのでまるっきり適当な半紙ではないつもりですが、憶測も交えつつ僕の考えをまとめているのにすぎませんので、間違いや勘違いなどがあればご指摘ください。
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posted by taichistereo at 07:35 | Comment(0) | VODサービス
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